LOGHOUSE LIBRARY
LOGHOUSE LIBRARY / BOOK 01

ログは、海で
「記録」になった。

ログハウスからログインまで、ひとつの言葉をたどる。

ログハウスの「LOG」。

この言葉を辞書で調べると、大きく二つの意味が出てくる。

ひとつは、丸太。

もうひとつは、記録。

記録?

一瞬そう思ったけれど、よく考えてみると「ログ」が使われている言葉はいろいろある。

  • ログイン、ログアウト。
  • アクセスログ。
  • ブログ。

これらの言葉に使われているLOGは、たしかに記録のほうのLOGだ。

丸太のLOGと、記録のLOG。

この二つは、どこかでつながっているのか。

そんなお話です。

まず、丸太のLOG

まずは、ログハウスのLOGから。

英語の「log」には、丸太や大きな木の塊という意味がある。

ログハウスのLOGは、そのままこの意味だ。

では、この「log」という言葉自体は、どこから来たのか。

調べてみると、意外なことにはっきりしていない。

かなり古い時代から、すでに丸太を意味する言葉として使われていたことは分かっている。でも、その前がよく分からない。

いくつか説はあるものの、これが語源だと言い切れるところまでは分かっていないらしい。

気がついたときには、丸太はもうLOGだった。

もうひとつのLOG

では、もうひとつの「記録」のLOGはどこから来たのか。

こちらをたどっていくと、海に出る。

昔の船では、船の速さを測るために、木の板をロープにつないで海へ流していた。

船が進むと、ロープが繰り出されていく。

ロープには一定の間隔で目印がつけられていて、決められた時間にどれだけロープが出たかを数える。

それで、船がどのくらいの速さで進んでいるのかを測っていた。

三角形の板と巻き取ったロープからなるチップログの古い図
チップログの図。Charles Ellms, 1841(1835年、HMS Piqueでの使用例)/Wikimedia Commons/Public Domain

この道具が「ログ」と呼ばれていた。

ここでのLOGは、記録ではなく、明らかに木のほうのLOGだ。

記録のLOGより先に、木のLOGがあった。

そして次に出てくるのが、ログブック。

ログを使って測った船の速さをメモしておく、航海日誌のようなものだ。

そこには速さだけでなく、進んだ方向や天候、その日に船で起きたことなども書き残されていった。

鯨の図と航海記録が書き込まれた19世紀の捕鯨船ログブックの見開き
捕鯨船 Indian Chief のログブック。Thomas R. Bloomfield, 1842–1844/Nantucket Historical Association・Internet Archive/Public Domain

今の感覚でいうと、いろいろな記録を残す本だから「ログブック」なのだと思ってしまう。

でも、もともとはそうではない。

先にあったのは、船の速さを測るLOG。
そのLOGで測ったことを書き残す本だから、LOGBOOKだった。

やがて、ログブックに残された記録そのものも「LOG」と呼ばれるようになっていく。

ここから、LOGは「記録」そのものも指すようになっていった。

丸太だったLOGが、船の速さを測る道具になり、その数値を書き残すLOGBOOKになり、そこから「記録」のLOGが生まれた。

最初に辞書で見つけた二つの意味は、ちゃんとつながっていた。

ログインのLOG

そして、この「記録」のLOGは、その後PCの時代を迎えてさらに形を変える。

コンピューターの中で起きたことを記録したものも「ログ」と呼ばれるようになった。

いつ、何が起きたのか。
誰が使ったのか。
どんな処理が行われたのか。

そうした記録が、アクセスログやシステムログとして残っていく。

そして「log in」という言葉も、コンピューターの世界で使われるようになった。

今では、私たちが毎日のように行う「ログイン」だ。

BLOGとVLOG

さらに身近なのが、BLOG。

もともとは、ウェブ上に残す記録「weblog」から生まれた言葉だ。

weblogが短くなって、blog。

そしてvideoとblogが合わさって、vlog。

ログハウスのLOGを調べていたはずなのに、気がつけばブログや動画までつながってしまった。

ここまでのLOG

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WOODLOG丸太
チップログの古図版
LOG船の速さを測る道具画像クレジットは本文参照
19世紀のログブック
LOGBOOKLOGで測ったことを書き残す本画像クレジットは本文参照
RECORDLOG記録
WEBWEBLOGウェブ上の記録
WEBBLOGweblogが短くなった言葉
VIDEOVLOGvideo blog
ちなみに、数学に出てくる「log」の語源は別。こちらは対数 logarithm の略。丸太のLOGとも、記録のLOGとも別の言葉でした。

木のLOG応用編

木のほうのLOGも、英語の中にいろいろ残っている。

川面を埋めるように大量の丸太が詰まったログジャム
St. Croix Riverのログジャム、Minnesota, 1886/Minnesota Historical Society・Wikimedia Commons/Public Domain
log + jam

「ジャムる」「ジャムった」という言い方を聞いたことがある人もいると思う。プリンターで紙が詰まったときの、あの「ジャム」だ。

logjamも同じで、logがjamしている。
つまり、丸太が詰まっている。

もともとは、川を流していた丸太が大量に詰まって、動かなくなった状態を指す言葉だ。

そこから、物事が行き詰まって動かなくなることにも「logjam」が使われるようになった。

logrolling

もともとは、重い丸太を人が協力して転がし、動かす作業のこと。

今では政治の世界でも使われていて、互いの法案などを支持し合う、いわば「持ちつ持たれつ」のような意味を持つ。

川岸で馬とともに大きな丸太を動かす作業者
丸太を川へ転がす作業、Littlefork, Minnesota, 1937。Roy Emerson Stryker/Library of Congress, FSA/OWI/Public Domain

logger

森では、木を伐ったり丸太を扱ったりする林業の人を指す。

一方で、データロガーといえば、データを記録する装置だ。

木を扱うloggerと、記録するlogger。

ここでも二つのLOGが残っている。

雪の残る林道を歩く三人の林業作業者
冬仕事を終え町へ歩くlumberjacks、Forest County, Wisconsin, 1937。Russell Lee/Library of Congress, FSA/OWI/Public Domain

ログハウス図書館のLOG

LOGHOUSE LIBRARYで扱うのは、

木のLOGからつくられるログハウスです。

そして、ここに残していきたいのは、

その記録と記憶。

  • 建物のこと。
  • つくった人のこと。
  • そこで暮らした人のこと。
  • 古い資料。
  • 調べても、まだ分からないこと。

LOGHOUSE LIBRARYという名前には、

木のLOGと、記録のLOG。

その二つが入っている。

LOGを調べて、LOGを残す。
そんな場所になれば。
LOGHOUSE LIBRARY — BOOK 01