ペタヤヴェシの古い教会
湖のそばに残る、丸太で建てた村の教会。

湖のそばに、小さな木造教会が立っている。昔は舟で、冬には凍った湖を渡ってここへ通う人もいた。教会がこの場所に建つのには、ちゃんと理由があった。

1763年、ペタヤヴェシの村人たちは新しい教会を建て始めた。王室へ寄付の許可を求めていたが、承認が届くのは翌年。それを待たずに、夏のうちに壁と屋根まで組み上げている。


村でつくった、丸太の教会
棟梁は地元の大工ヤーッコ・レッパネン。丸太を一本ずつ刻み、十字形の平面を組んでいった。西洋の教会で見られる大きな屋根や天井の形を、ここでは身近なマツの木でつくっている。


前にあった礼拝堂も無駄にはしなかった。古いログ材を加工して、新しい教会の床板に使ったという。教会を建て直す仕事の中に、使える木を使い続ける工夫がある。
礼拝の時間は、村の時間だった


礼拝は長いときには数時間に及び、説教の後には村への知らせが読み上げられた。逃げた牛の話が話題になることもあったそうだ。男性と女性では座る側も決まっていて、前の席に誰が座るかにも決まりがあった。


堂内を見上げると、木造とは思えないような曲面の天井がある。石造教会のヴォールトを思わせる形を、木の板と梁でつくっている。下の長椅子や説教壇も、地元の職人たちの仕事だ。
屋根の形にも、木を選ぶ理由がある


外壁は横積みのログ。屋根はその上に架けた木の骨組みで支える。丸太の重ね方も、手で加工した接合部も、教会だから特別というより、この地域で培われた木の技術が使われている。

こちらは屋根の構造を再現した模型画像。建物の外からは見えない骨組みを、少しだけ覗ける。
建てた人の孫が、鐘楼を建てた

1821年、教会の西側に鐘楼が加わった。工事を任されたエルッキ・レッパネンは、最初の棟梁ヤーッコの孫。家族をまたいで、同じ教会に仕事を残したことになる。

1879年、対岸に新しい教会が建った。古い建物は取り壊されず、鐘は残され、墓地も使われ続けた。1920年代から保存の手が入り、1994年には世界文化遺産に登録されている。

雪の朝の教会。かつての礼拝の賑わいは写真には写らないけれど、壁に積まれた丸太も、家族二代がつないだ鐘楼も、同じ場所に残っている。
建物データ
| 国 | フィンランド |
|---|---|
| 建設 | 1763〜1765年 |
| 鐘楼・連絡部 | 1821年 |
| 場所 | フィンランド・ペタヤヴェシ |
| 建築 | ヤーッコ・レッパネン(Jaakko Klemetinpoika Leppänen) |
| 構法 | 横積みログ/フルスクライブ系のサドルノッチ |
| 世界遺産 | 1994年登録 |
写真クレジット・出典
対岸から望む教会。湖と森に囲まれたこの場所へ、村人は舟でも通った。
Kospo75 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
1763〜1765年に完成した教会と、後に加わった鐘楼。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 元ページ ↗
近くから見ると、壁は横に組まれた丸太。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
高い屋根と丸太の壁を別の角度から。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
入口と外壁の木工を近くから。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 元ページ ↗
素朴なログ壁と急勾配の屋根。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 元ページ ↗
礼拝の場だった内部空間。
Diego Tirira from Quito, Ecuador / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 元ページ ↗
村の職人が仕上げた説教壇や祭壇まわり。
Antti Bilund / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
上を見上げると、木で組んだ曲面の天井が広がる。
Antti Bilund / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
内側の木材と手仕事を近くから見る。
Diego Tirira from Quito, Ecuador / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 元ページ ↗
大工の手仕事が残る木の扉。
Elili89 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 元ページ ↗
壁の丸太の納まりと建物の輪郭。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
屋根の骨組みを示した復元モデル。実物写真とは区別して掲載。
Artturimatias / Wikimedia Commons / CC BY 4.0 元ページ ↗
1821年に増築された鐘楼。最初の棟梁の孫が手がけた。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
古い教会のそばでは、今も墓地が使われている。
Tiia Monto / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 元ページ ↗
冬の朝。昔は凍った湖を渡って教会へ通う人もいた。
Teuvo Salmenjoki / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 元ページ ↗
主な出典
UNESCO World Heritage Centre|Petäjävesi Old Church
Petäjävesi Old Church official resources
Wikimedia Commons file pages
